2011年09月05日

「しっかり計画し無理をしない」が成功の秘訣

Microsoft OfficeからLibreOfficeへの移行を成功させるには「しっかり計画し無理をしない」が秘訣のようです。
これは9月3日に行なわれたOSSCAizuでの『会津若松市におけるOpenOffice.org導入と取組みの現状』で話された点です。

・しっかり計画
会津若松市は移行を以下のスケジュールで行なわれました。

2007年6月    全庁導入を進めることを決定
2008年5月から  職員研修開始
2008年10月から OpenOffice.orgを標準のオフィスソフトとしODFを標準ファイル形式に

導入決定から研修まで約1年が費やされ,検証が行なわれていることが分かります(実際にはOpenOffice.org のバージョン1から検証は行なわれていたようです)。どのあたりに戸惑いが出るか,よく発生する文書のレイアウトの崩れをどのように修正するかなど,それぞれの導入環境での検証し,安心して使用できるための情報を揃えるには時間が必要です。ここを十分に行なわないと最初に「使えない!」という先入観を植えつけることになります。この第一印象を払拭するのは大変です。
会津若松市がOpenOffice.orgを標準のオフィスソフトとした2008年10月にリリースされた,OpenOffice.org 3.0からMS Officeとの互換性が大幅に向上し,2011年1月にリリースされたLibreOfficeはOpenOffice.orgよりさらにキー操作や対応ファイル形式でMS Officeとの互換性が向上しているために,現在では検証や研修をより短時間で行えるかもしれません。

・無理をしない
オープンソース原理主義が移行目的ではないので,Microsoft Officeを拒絶する必要はありません。たとえば幾つかのPCにはMS Officeをインストールしておき,どうしても必要な場合に活用できるようにしたり,またViewerを活用して外部から来る文書を処理することができます。

先のスケジュールではODFを標準ファイル形式に採用したのが2008年10月ですが,約2年半が経過した2011年6月時点で庁内のやりとりするファイルの約55%がODFファイルになっているようです。さらに20%がPDFファイル形式で全体としては75%がMS Officeに依存しない状況です。このファイル形式の比率は,外部から送られてくるファイルを含んでいる統計のため,実際に庁内で使われているMS Office非依存のファイルの割合は更に上がるようです。ここも緩やかに変化していて無理のない体制が表れています。

無理をしないことには期待を現実的なものとすることも含まれます。LibreOffice(OpenOffice.org)にMicrosoft Officeと全く同じ機能を期待すると移行がうまくいかないようです。つまり機能が幾つか不足しているとしても,それを許容する柔軟性が求められます。この柔軟性には代替手段を考えることや,文書作成に不可欠な要素でなければあきらめることも関係しています。「本当にこの機能がなければならないのか」「この文字のレイアウトでなければ文書として成り立たないか」と問いかけ,本当に必要な機能があれば十分であるという現実的な気持ちを持つことがユーザーには必要のようです。この柔軟性は文書を作成する以外にも既存の方法を見直す意識改革(いわゆるカイゼン意識)という副産物を産み出すことにつながるでしょう。

現在,会津若松市ではOpenOffice.orgからLibreOfficeへの移行を検討しておられるようです。技術的にはほとんど問題ないと確認されているようですが,わたし個人では思いもよらぬ障壁があることを指摘されていました。名称が変わったために「また新しいソフトを使わなければならない!」という心理的な抵抗感があるとのこと。LibreOfficeはOpenOffice.orgベースで開発されているために操作性はほとんど変わらないと思いますが,こうした経緯を知らない方々にとってはたしかに問題になりそうです。アイコンも変わりますから,戸惑いも一時的にはあるでしょう。
前回のOSC京都で企業導入さていている方の意見で気付かされたことがありましたが,今回は大量導入されているところでは,ソフトウェアの機能や技術面だけでなくユーザーのこうした心理面も考慮して無理のない計画を立てるべきことを学びました。こうした細かい部分まで「しっかり計画し無理をしない」配慮が移行を成功させる秘訣のようです。やはりユーザー目線はいつでも忘れてはなりませんね。
posted by matuaki at 08:04| Comment(0) | TrackBack(0) | LibreOffice
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